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森利津子

森利津子さんの染めは、植物を中心にした天然素材を使います。
そのきっかけになったのが、生糸。
雑誌【銀花】に載っていた、赤城の繭から直接糸を取る座繰り糸の輝きに惹かれ、
群馬に通って学んだ糸創りが始まりでした。
その白い糸を自然の色で染めたくて、再び群馬へ。
草木染め命名者のもとで学んだのは、さまざまな植物から生み出される奥深い色のこと。
「植物からもらった色は、想像以上に、鮮烈でした。見かけからは思いもつかないような色が出てきたり。」
その後、違う植物の染料を重ねたり、複数の染料を割合を変えて混ぜたりなど、実験的に染めて出る色の違いを確認したりと、さまざまな色の探求をしています。
2010年から、展覧会などで活動を始め、2013年からは、スタジオ・オークでの企画展にも参加いただいています。港区・浜松町駅近くのセレクトショップMINATOで、作品を常設中。

草木染めストール
草木染めストール
草木染めストール
草木染めストール
草木染めストール
草木染めストール

ワークショップでの染色体験も好評

季節に合わせたワークショップでは、まず、染めの仕組みの話をから。染料には、薬草としても効果があるものが多いので、今後は薬効の部分もに説明に含めていきたいとのこと。
スタジオ・オークでのワークショップでは、敷地内に数多くある珊瑚樹<サンゴジュ>、を素材に。葉を摘み取るところから始めました。
珊瑚樹<サンゴジュ>の染料は、<媒染剤>にミョウバンを使うと、オレンジがかったピンク、鉄を使うと茶色がかったグレーに。
参加者の方にどちらを使うか、または2色染めにするかを、選んでもらって染めていきました。

珊瑚樹
ワークショップ風景
ワークショップ作品
草木染をざっくりと。
●染めのおおまかな流れ
①染料となる植物などを湯に入れて加熱し、沸騰後15分ほど煮出した後、目の細かい布で濾して色素を抽出した染料液を作る。最初の液が1番液、以降、煮出しを繰り返したものを2番液、3番液と呼ぶ。
*煮出す以外に、アルコール抽出するもの(紫根<シコン>など)も。
②ムラなく染まるように、糸、布を湯通しし、糊抜き、精錬(布や糸から雑物を除くこと)などの下準備。
③染料液に糸や布を浸し、媒染剤を入れて、発色・定着。
④布に定着していない余分な染料を洗い流す。
*天然染料は天然繊維によく染まるが、合成繊維にはほとんど染まらない。
日本茜の根
日本茜<ニホンアカネ>は根を使用。煮出したら目の細かい布で濾して染料液に。

染めの過程
染料液に下準備した糸や布を浸し、媒染剤で色を定着。

染めの過程
染めた布は水洗いして、定着していない分を洗い流す。

染めの色見本
データを記した色見本を作っておくと便利。
●媒染剤とは
染料として使う天然素材に含まれる色素のほとんどは水溶性だが、水溶液だけでは繊維に定着しにくいため、<媒染剤>という色素と布をつなぐ役目をするものを使う。
使われるのは金属が主で、代表的な種類として
 ・アルミ媒染剤(焼きみょうばんスーパーで入手・生みょうばん)
 ・銅媒染剤(酢酸銅・硫酸銅)
 ・鉄媒染剤(木酢酸鉄・酢酸第一鉄)など。
ウコン、キハダなど媒染剤を使わないものもある。
金属の成分によって、色合いは変わリ、一般的に、錫・アルミニウムは明るく、チタン・銅では濃くなり、鉄では黒みがかる。また植物のどの部位を使うか、染め液の濃さでも、異なる色味になる。
藍
藍:葉を発酵させた建て染めをすることが多いが、生の葉を煮て色素を取り出すことも。

エンジュ
エンジュ:中国では、古くから黄色を染めるのに使用されていた。染色には花の蕾部分を使用。
桜の枝
桜:花からは色付けができず、蕾が色づく直前に剪定した枝を使用。
チューリップ
チューリップ:花びらを、クエン酸などで2晩ほど漬け込み、色素を抽出、媒染剤はなし。